今週の日経平均構成銘柄は揺れ動く関税政策に翻弄
2025年6月2日〜7日 週間市場分析レポート
※本レポートは週末の振り返りと来週の展望をまとめたものです
週間サマリー
2025年6月2日から7日にかけて、日経平均株価は米中貿易摩擦の懸念と政策期待の間で振り子のような動きを見せ、週間では0.7%の小幅上昇にとどまった。トランプ政権の関税政策という外圧に揺さぶられながらも、日本株は底堅さを保った1週間だった。
週間騰落率0.7%上昇も、個別銘柄の明暗くっきり
週初値
週末値
週間高値
週間安値
今週の日経平均は5月30日終値の37,965円から6月6日終値37,741円へと224円下落したが、週間を通じてみると底堅い動きを維持した。特筆すべきは6月2日の494円安から、その後の4営業日で着実に値を戻した回復力だ。
📈 週間上昇率TOP3
- gumi: +19.57%
- GMOインターネット: +17.60%
- 古河電気工業: +11.33%
📉 週間下落率TOP3
- IRジャパン: -13.29%
- 京成電鉄: -10.87%
- 日本光電: -9.30%
📊 テクニカル状況
- 逆パーフェクトオーダー確認
- 短期MAが中長期MAを下回る
- 上値の重さを示唆
自動車・鉄鋼セクターに関税の暗雲、内需・AI関連は堅調
セクター別の動向を見ると、米国の25%関税政策の影響が自動車・自動車部品セクターを直撃した。トランプ政権が発表した相互関税により、日本の基幹産業である自動車セクターは年初来で最大級の下落を記録。各社は米国現地生産の強化を急ぐが、短期的な業績への影響は避けられない状況だ。
対照的に、情報・通信業、小売業、サービス業などの内需関連セクターは資金の逃避先として堅調に推移した。特にAI関連銘柄への物色は継続し、データセクやアイズなど生成AI関連企業への注目が高まっている。
円安基調と米国市場の安定が下支え、中国リスクは継続
外部要因では、ドル円相場が143~145円台で推移する円安基調が輸出企業を下支えした。6月6日にはドル円が144.85円まで上昇し、前日比0.90%の円安となった。
米国市場は比較的安定的に推移し、S&P500は5,930~5,970台、ナスダックは19,200~19,460台で推移。NVIDIAなどAI関連企業の好決算を受けて、東京エレクトロン(8.7%上昇)やアドバンテスト(11.8%上昇)など日本の半導体製造装置株も連動して上昇した。
一方、中国市場は低迷が続き、製造業PMIが48.3と景気拡大・縮小の境目である50を下回った。米国関税の影響が中国経済に表れ始めており、中国向け輸出企業の株価は軟調に推移した。
攻めの大型バリュー株、守りの高配当株で二刀流戦略
- 三菱UFJフィナンシャル・グループ:2024年3月期に過去10年で最高の売上高
- 三井住友フィナンシャルグループ:利ざや改善期待
- 三菱重工業:防衛関連の政策テーマ株
- 花王:連続増配株、配当利回り3%以上
- 三菱HCキャピタル:安定的なインカムゲイン
- KDDI:ディフェンシブ性の高い高配当株
現在の市場環境では、「攻守のバランスを重視した二刀流戦略」が有効だ。具体的には、景気回復初期局面で優位となる大型バリュー株(特に金融セクター)への投資と、ディフェンシブ性の高い高配当株への分散投資を組み合わせる。
トランプ関税の90日猶予期限がカギ、7月9日に注目
- 6月17日:日銀金融政策決定会合 – 国債買い入れ減額に関する発言に注目
- 6月18日:米FOMC – 日米金利差の動向が為替相場に影響
- 7月9日:トランプ関税の90日間猶予期限 – 最重要イベント
中長期的には、野村證券が2025年末の日経平均を38,000円、大和証券が45,400円と予想している。市場コンセンサスは39,100~45,900円のレンジで、PER16-17倍を想定。
結論:選別的投資で乱高下相場を乗り切る
今週の日本株式市場は、関税政策という外圧に揺さぶられながらも、個別銘柄の選別が進む健全な調整局面を示した。投資家は短期的な材料に一喜一憂せず、企業の本質的価値に注目した投資を心がけるべきだ。
推奨投資戦略
- 大型バリュー株と高配当株の組み合わせ
- 内需関連への重点配分
- 段階的な買い増し(特に37,500円を割り込む局面)